一点の穢れもない、透き通ったガラス。 僅かに蒼の混じった、透明な水。 そう、この世界は『蒼』に満ちている。 冷たく、しかし力強く光る、『蒼』。 その色は見る者に、どこかで何かが息づく感覚を与えるけれど。 この世界に生を受けた者で、そんな感覚を抱こうとする者は一人もない。 ……ガラスの向こう、タンクの中で、小さな幼子がふわりと微かに目を開けた。 蒼。彼の目の中は全て、蒼。 恐れや不安や絶望を押し退け、確かに鼓動する『命』の光。 彼の創造主は、満足気に息を吐いた。 ―――もう少しだ。 あと少しで、我々の『希望』が生まれる――― 君が生まれた日 プク…… プクプク…… 水の中を、小さな小さな泡が踊る。 ゆっくり伸ばした手で捕まえようとして。 でも、それらはいとも簡単に指をすり抜け、小さな丸になって上へ上へと昇っていった。 プクプク……
彼は、心の中でそう思う。
プクプクプク…… 自分も、上へ行ってみたいと思う。 でも、もっと行ってみたいのは『向こう』。 この、触ると硬くてツルツルの、透明な奴の向こう側。
プクプク…… もちろん、小さな小さな赤子に、そんな思考ができるわけもないのだが。 彼は言葉ではなく、感覚でそう思うのだった。
再び、手を伸ばして小さな気泡を捕まえようとする。 『蒼』が、ゆらゆらと揺らめいた。
カタン。 小さな音がした。
引っ張られて、上へ上へ…… プクプク浮いていく泡と同じ。
ザブン。 びっくりして目を見開いている幼子に、彼を引き上げた創造主は言う。 「今日から、お前は外で生きるのだ」
所在無くキョロキョロと辺りを見渡すその子に、彼は満足とともに恐れを抱く。 このジェノムは、他とは違う。 『自分』がある。 『魂』がある。 地面に下ろすと、重力に耐え切れず尻餅を付いた。 見る間に、青い瞳に涙が溜まる。 ―――ガイアの赤ん坊と、同じ。 訴えるのだ。 自分の生を。 自分の命を。 これは、感情を訴える『魂』なのだ――― やがて始まる彼の『運命』を、彼の『魂』はどう受け取るだろうか。 やがて訪れる安息の日々を、彼はどう支配していくだろうか。 赤ん坊の創造主、ガーランドは、感情のない心で微かに笑った。 この子供は、我々の『希望』だ――― その日。 蒼い世界に一つの魂が舞い降りた。 小さく灯った『希望』の光。 金色の羽に、青い瞳の。 ―――ジタン、という名の天使。 -Fin- ・・・(///照) ついにジタンが天使になっちゃった(笑) ということで、君が生まれた日、ジタンバージョンです。 なかなか表現するの難しかったぁ、クラムボン(笑) 巨匠のようには上手くいかないっすね〜、やっぱり(当たり前だ!) 運命的にもお誕生日が一緒の日という妹v(何) リュートさんへ♪ 心からお誕生日おめでとうの気持ちを込めてvv ・・・また、誕生日にはそぐわないモノな気もしますが(^^;) 2002.11.26
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