<3>


 女性陣が風呂から上がってみると。
 どこからともなく、カコン、カコンと音がする。
「あ〜! 何やってるの?」
 エーコが駆け寄る。
「卓球v」
 ジタンとビビが、ラケットを握ってピンポンをしている。
 と言っても、ビビの身長では卓球台から何とか頭が少し出るくらい、もちろん勝負にならない。
「エーコ、浴衣可愛いじゃないか。な、ビビ?」
「う、うん。良く似合ってると思う……」
 と、なぜか浴衣に帽子のビビ(笑)
「ダガーもフライヤも、可愛いのだわ!」
 と言われて目を向ければ。
「―――ジタン、目つきが厭らしいぞ。鼻の下が伸びておる」
 フライヤが注意を与えた。
「ところで、他の者たちはいかがしたのじゃ?」
「おじちゃんならそこにいるよ」
 チャームにかかったジタンの代わりに、ビビが答える。
 見れば、マッサージチェアに伸び切ったスタイナー。
「クイナはまた美味しいものを探しに行くって」
「まったく、落ち着きがないのう―――」


 さてさて。チャームの効果もようやく薄れてきたところで。
 卓球のラケットを弄んでいたジタンが提案した。
「そうだ、ダブルスでやろうぜ!」
「ほう、面白そうじゃな」
 意外にも、フライヤが乗る。
「じゃ、オレ、ダガーと組む!」
「え? わ、わたし卓球なんてやったことないわよ?」
「大丈夫だって、オレに任せとけば」
「そ、そう……?」
「サラマンダー、お前もやろうぜ!」
「―――くだらん」
「じゃ、罰ゲーム賭けようぜ。コンビニまで買い出しな!」
「勝手に決めるな」
 サラマンダー、コンビニで買い出しは嫌なようですが。
 浴衣の裾を捲り上げたジタンに、
「勝負だ!」
 と言われれば。
「臨むところだ」
 と答えてしまう、悲しい性(笑)
 売られた喧嘩は買ってしまうんだよね、サラマン氏。


 ということで、やってまいりました。第一回勝ち抜き卓球王選手権!(何)
 解説は、世紀の召喚士、エーコ嬢!
 そして、特別ゲストは大黒魔道士、ビビ少年です!
 お二人とも、どうぞよろしくお願いします!
「お願いしま〜すv」
「……エーコ、誰と話してるの?」
 ……(汗) ということで、とりあえずお二人から見所を。
「エーコはね、ジタンとダガーに勝って欲しいのだわ! ね、ビビ!」
「え? う、うん」
 なるほど〜(何)
 お〜っと! そうこうしているうちに、試合が始まるようです!
 両者、一歩も譲らぬ殺気(ぇ)です!
 さぁ、最初のサーブはジタン・ガーネットチーム、ガーネット選手。
 普段戦闘中からラケットは使い慣れている選手なだけに、期待大!
 はたまた、チラリがあるのか―――!(殴)
 ゴホンッ―――さぁ、打ちます……打ちましたぁ!
 順調な滑り出し、まずは無難なところに落しました、ガーネット選手。
 サラマンダー選手が打ち返します。とりあえずは様子を見ているようですね、エーコ嬢!
「ジタン、ダガー、頑張って〜!」
 さぁ、ジタン選手のファーストタッチ。
 お〜っと、変化球です! ラインギリギリに打ち込みます!
 ああ、しか〜し! フライヤ選手は左利き! 難なく打ち返しましたぁぁ!!
「きゃ〜〜!!」
「おねえちゃん、頑張れ〜」
 さぁ、声援を受けてガーネット選手、日頃のラケット使用の成果が出るか!?
 おっと、打ち損ねた球がボレーになっています!
 サラマンダー選手、長身を活かして打ち返す!
 グレートマウンテンアタ〜ック!(何)
 しかし! ジタン選手も負けてはいません!
 ミラクルスパイラルシュ〜ット!!(シュート?)
 回転技です!
 しかし、フライヤ選手、上手くかわしました!
 お〜っと、そこで……(続)



***



 さてさて、ヒートアップした試合の結果、結局ジタンとガーネットが負けたようだ。
 ―――まぁ、あのコンビに打ち勝つのは不可能だろう。
 ということで、二人は連れ立って、歩いて五分ほどのところにあるコンビニエンス・ストアーに買い物に出かけた。
 ……ジタンにはあまり罰ゲームになっていない気がするのだが(笑)


「なになに? ムー○ポッキー? イチゴ味じゃなきゃイヤ……これ、エーコだな。それから、ポテ○チップスに、さ○イカ? あと……」
「ねぇ、ジタン。飲み物は?」
 と、飲料水クーラーの前でガーネット。
「やっぱビールじゃない?」
「―――あなた、まだ未成年じゃない」
 第一、コンビニでは未成年にお酒は売ってくれません。
「……しまった」
「じゃ、なっちゃ○とポカ○スエット買うわね。あとウーロン茶」
 健全ですね、姫さま。


 ひとしきり買い物を済ませ、宿に帰ると。
 スタイナー、復活済み。
「貴様ジタン――――! 姫さまとどこへ行っていた!」
「買い出しだって。花火も買ってきたぜ?」
「わ〜い、花火!」
 エーコは大喜び。
 いとも簡単にスタイナーを押しやった!
「―――すごいな、エーコは……」
「何が?」
「……いや、いろいろさ」
「ちょっと、ダガー。ジタンが変だわ(゚∀゚)」
「大丈夫? 頭の打ち所、悪かったんじゃないジタン?(゚Д゚;;)」
 ―――違うって。
 てか、そこの二人、顔文字が怖い(笑) やめてくれ(_ _;)
「ってことで、暗くなったら花火な!」
「わ〜い! 楽しみだね、ダガー!」
「そうね〜v」
 そこへ、フライヤが顔を出した。
「おお、帰っておったか。そろそろ夕餉の支度が出来たらしいぞ」
「おっしゃ!」
「待ってました〜v」
 腹ペコ軍団は目にも留まらぬ素早さで部屋を後にしたのだった。







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