<6>
「ちょっと、みんな聞いてくれるか?」
皿洗いに動員されていたマーカスとシナ、ルシェラ、バンスにゼネロやベネロたち、バクーも集まってきた。
「何か用でよ?」
「ちょっとな。発表がある」
「なんスか、兄キ」
ブランクは俯いているルビィの横顔を一瞬見ると、一言。
「俺たち、結婚することになった」
……。
―――。
―――――!?
「ほ、本当ずら?」
「マジっスか!?」
「び、び、びっくりでよ!」
「え――――!?」
と、口々に驚きの言葉が漏れる。
ルシェラは一人、持っていた布巾をぽいっと投げて、ルビィに抱きついた。
「おめでとう、ルビィちゃん!」
「あ、ありがとう」
ルビィは赤い目に赤い顔のまま、礼を述べる。
「元気な赤ちゃん産んでね!」
「う、ん―――えぇ?」
ぎょ、っとしてルビィはルシェラの顔を覗き込んだ。
「あんた、なんで―――」
「マリアママに聞いたんだよ。ルビィちゃんのこと、気を付けてあげるようにって」
「……あ、そうやったんや」
ルビィは頷き、ブランクは渋い顔。
「――――あんのバ……」
「誰がババァだって?」
と、ほうき片手に台所から出てきたのは、噂のマリア。
「――――げ」
「ブランク」
「―――はい」
「あんたねぇ。結婚前の彼女、孕ましてどうするんだい。このろくでなしが」
気まずそうな顔で、ブランクは黙る。
「しっかり責任取って、幸せにしておやりよ」
赤ん坊の頃から彼を知っているその姉貴分は、今や自分よりも背の高い青年の赤い頭をかなり乱暴に撫でると、にっこり笑った。
「ルビィ、早く言ってよかったろう?」
と問われ、ルビィは頷いた。
「―――うん、ありがとう、姉さん」
「……あのぉ、マリア姉さん」
と、おずおずマーカスが割って入った。
「なんだい、マーカス」
「……ホントなんっスか?」
「ああ、そうさ。ダブルおめでたって奴だね」
「え――――!!!」
またもや驚きの言葉がいくつもの口から飛び出す前に。
「お前らぁ!」
と、ボスの一喝。
「アジト内恋愛は禁止だと言っただろうが!」
「―――いつそんなこと言ったよ」
ブランクがぼそりと呟く。
「へ、まったく。とんだガキどもだぜ。ま、せいぜい幸せにやれ」
「あ、ボス」
「なんだ」
「俺たち、ここに残るから心配ないぜ」
「え?」
と、びっくりしたのはルビィ。
「二人も出ていったら人少なくなるしな。いいだろ?」
「うん、ええけど―――」
「俺はよくねぇぞ!」
とバクー。
「一人前になったら出ていけ」
「タンタラス継いでやるから出ていかない」
と、ブランク。
「ええっ?」
とルビィがまた驚いてブランクを見るので。
「いいだろ?」
「―――うん。まぁ、ええけど」
「こら―――! 俺はよくねぇど!」
と言いつつ、バクーはなにやら嬉しそうなのであった。
「おばちゃん、今日はずいぶん機嫌良さそうやね」
ルビィはおまけをたっぷり入れてくれる八百屋の手を見ながら、そう話し掛けた。
「ああ、まぁね。娘の結婚が決まってね」
「え? って、あの逃げ出した―――」
「そうそう。ある時不意に帰ってきてね。子供の顔を見たら愛しくなったんだろうね、すぐに結婚が決まったのさ。まったく、男なんてのはロクでもないね。いっつも自分の都合ばっかりさ」
と言って、彼女は上機嫌で笑った。
「はい、お待ちどう。たっぷりおまけ入れといたよ。いつもご贔屓に」
ルビィは重そうな紙包みを受け取ろうとしたが、一瞬早く別の手が、さっとそれを攫った。
え? っと振り向くと、紙包みを持ったまま、隣の露店を物色しているブランクが見えた。
「おやおや、知り合いかい?」
「え? あ、ああ、そう。その――――」
「あはは、恋人かい」
ルビィは赤くなって俯いた。
「良さそうな子じゃないかい。大事にしておもらいよ」
ルビィは恥ずかしくなって、ますます俯いた。
隣の露店を意味もなくブラブラしている青年に走り寄っていった若い娘を、彼女は優しげな瞳で見つめた。
「おやまぁ。これは、わたしゃ余計なことを言ってたのかも知れないねぇ」
彼女は笑った。
と言うのも、走ってきた恋人に、彼は難しい顔で何事か注意を与えたのだから。
暖かい夕日が射し込んで、間もなく来る春の訪れを感じさせた。
そう、もうじき春だ―――。
-Fin-
はぁ、修理って意外と大変なんだなぁ・・・途中一部だけ最近書いたものだったりして(笑)
リクエストは「ルビィが妊娠疑惑!? ブラルビができ婚するいきさつについて」でした〜v
実はも何も、前回のブラルビを書いていた頃からこっちも書き始めていたので、
ほとんどが古〜い文章だったたりして、何度も読み直しておかしな言葉遣いを直したり、
自分の今のスタイルを出そうと苦心してました(笑)
でも、日の目を見てよかった、この作品も(^^*)
リクエストいただかなかったら、こうしてアップされることもなかったのではないかと思います・・・
本当に、リクエストありがとうございました♪
こんな感じでよろしかったのでしょうか・・・いつもながらに心配です(^^;)
特に、オリジキャラとかオリジ設定とか出てきてしまってすみません。
皆さんにお見せする予定になかった作品だったので、好きに書いていました。。。(;;)
マリアのシーンとか、ホントはカットしたかったんですが、上手くいかなくてやめました・・・
今回一番苦労したのが、なぜかブランクの喋り方だったりして(笑)
気を許すと、彼はジタンと双子になってしまうのでした(^^;)
どうにか差別化してるのですが、どうにも喋り方がおかしい部分があったり・・・(涙)
どちらにせよ、ブランクってプロポーズとか向いてないねぇ。。。硬派だしv(またか!)
でも、ルビィのことは生涯大切にするんだと思います(笑) ・・・ニクイね!(コラ)
で、この二人ですが、5月に結婚式を挙げる予定です。
リンドブルムは6月が結婚シーズンらしいですが、急だったので会場が取れなかったらしい(爆笑)
ちなみに、今回できちゃったのは双子ちゃんです。そう、リアナとジェフリー(笑)
10月ごろ生まれる予定でございます・・・フフフ。
2003.5.18
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