エーコ:「ダガー、ダガー!」

ガーネット:「なぁに、エーコ?」

エーコ:「知ってる? 二月十四日が何の日か!」

ガーネット:「二月十四日? 誰かの誕生日だったかしら?」

エーコ:「違うってば〜! リンドブルムではね、二月十四日に女の子が好きな男の子に告白するんだよ♪」

ガーネット:「こ、告白……?」

エーコ:「そう! 手作りのチョコレートをプレゼントして、気持ちを伝える日なの!」






バレンタイン大作戦!





 昔々、恋人たちのために命を捧げた聖職者がいたという。

 聖バレンティノ。

 彼の命日にちなみ、二月十四日は恋人たちが愛を確かめ合う日とされている。

 ―――というのは、アレクサンドリアでも一般的な伝説であったりする。

 しかし、祭好きなリンドブルムの人間は単なる伝説にとどまらず、この日さえイベント化して楽しんでいた。

 もっとも、古くは商業区の小さな菓子屋がハート形のチョコレートを売り出し、そのヒットがこの習わしにつながったという話である。

 今では、どの街のどの菓子屋も、季節が来ればハートを象ったチョコレートで溢れているが。





エーコ:「でもね、本当に好きな人には心を込めた手作りを渡すのが一番いいって、お母さんが言ってたのだわ」

ガーネット:「手作り……?」

 純正培養のお姫さまガーネットには、チョコレートを手作りするなど及び考えもつかないことである。

エーコ:「大丈夫よ、クイナが教えてくれるって♪ それに、フライヤにも手伝ってもらうし」

ガーネット:「フライヤ……??」

エーコ:「そうよ。フライヤだって恋人いるんだし、どうせ作るならみんなで作った方が楽しいでしょう?」

 エーコは満足そうにニコッと笑ったが、フライヤまでもがこのイベントに参加する気があるらしいことに、ガーネットは驚きを禁じ得なかった……(笑)






***





 さてさて、バレンタインデー当日。

 アレクサンドリア城の調理場にて、極秘の会議が行われていた。

 ……もちろん、男子禁制である(笑)

 集まったのはガーネット、エーコ、フライヤ、クイナ、なぜかルビィ、そしてラニ。

 ちなみに、ルビィとラニを呼んだのはフライヤで、クイナがはたしてまともなチョコレートを作れるのかという危惧からこういうことに慣れていそうなルビィを、トレノを通りかかったところたまたま暇そうにしていたラニを誘ったのだった。

エーコ:「どうせならさ、女子大集合で作ろうよ♪」

ガーネット:「じゃぁ、ベアトリクスも呼んでくるわね」

 ということで、なぜか将軍で剣豪で(以下略)のベアトリクスも、この秘密会談に招かれた。

クイナ:「それじゃ、始めるアルよ! まず、製菓用のチョコレートの固まりを包丁で細かく刻むアル」

エーコ&ガーネット:「は〜いv」

クイナ:「必ず製菓用のチョコレートを使うアルよ。製菓用のチョコレートは純度が高くて失敗しにくいアル。クーベルチュールというアルよ」

(筆者:ああ、またあのテーマソングが流れてくる……(何))

ベアトリクス:「ガーネット様、刃物をお使いになるのは危ないですわ。私が致します」

エーコ:「ダメ!」

 突然大声で制するエーコ。

エーコ:「始めから終わりまで、全部自分で作らなくちゃ意味がないでしょ! おばさんは黙ってて!」

 またおばさん攻撃の、エコ姫。

ベアトリクス:「は、はぁ……」

フライヤ:「おぬしもおぬしの分を作れば良いではないか。渡す相手もあることじゃ」

 と、エプロン姿がなぜか様になる(笑)フライヤが、ベアトリクスに目配せした。

ガーネット:「そうよ、ベアトリクス。きっとスタイナーも喜ぶわv」

ベアトリクス:「は、はい……」

 お堅い国アレクサンドリアで、よもや意中の相手にハート形のチョコレートを渡すなど、ベアトリクスにしてみれば青天の霹靂であった。

 が、敬愛する君主の命令ならば、聞かぬ訳には参らず(笑)

ルビィ:「ちょっとお姫さん、それじゃ刻み方が大きすぎるで」

ガーネット:「えっ……? これくらいかしら?」

ルビィ:「危ない危ない! よそ見せんと作業しぃや。……ホンマに、不器用な子やねぇ」

ガーネット:「///(赤面)」

ラニ:「しっかしさ、一国の女王さまともあろうお方が恋人のために慣れない手つきで一生懸命チョコ作りなんて、なんかいじらしいじゃない。いいわねぇ、初々しくてv」

ガーネット:「///(ますます赤面)」

ルビィ:「で、どうなん、ジタンとは?」

ガーネット:「///(手元危険につき注意)」

フライヤ:「(笑)」

ルビィ:「もちろん、うまくいっとるんやろ?」

ガーネット:「え、ええ……まぁ///」

ルビィ:「ええね〜、ホンマ可愛えわぁ〜」

ラニ:「ね〜♪」

ルビィ:「まぁ、初々しいんは最初のうちだけやろうけどね」

ラニ:「それは言えてる」

 ……変に意気投合の二人(笑)

ガーネット:「(ガーン|||)」

フライヤ:「(爆笑)」

エーコ:「大丈夫よ。ダガーはおばさんたちと違って可愛いから、ジタンもぞっこんラヴだもの」

 ―――グサリ。

ラニ:「……小娘〜ぇ! よくも言ったわね!」

エーコ:「きゃ〜、フライヤ助けて〜」

フライヤ:「口は災いの元、という諺を、おぬしは覚えるべきじゃな」

クイナ:「静かにするアル。包丁は人に向けるものでないアル。魚や肉や、野菜なんかを切る便利な道具アル」

ラニ:「……変なバケモノに言われたくないわ(苦笑)」

クイナ:「チョコレートを刻み終わったら湯煎に掛けるアルよ。ここが大事なところアルから、みんな注意するアル。湯煎の温度は四十〜四十五度くらいがいいアル」

ラニ:「……無視?(大苦笑)」

エーコ:「クイナは料理のこととなると人が変わったように真剣なのよ。他のことはどうでもよくなっちゃうの」

ラニ:「……そ、そう(苦笑)」

ガーネット:「でも、ルビィ。わたしジタンから聞いたけど、ルビィもブランクと恋人同士なんでしょう?」

ルビィ:「……(あのお喋り!:怒)」

ラニ:「ブランク? って、あのバンダナの子?」

ガーネット:「違う違う、それはマーカスよ」

ラニ:「んじゃぁ、あの一番背が低いの?」

ガーネット:「いいえ、それはシナ」

ラニ:「となるとぉ……ああ、あの強面の!」

ルビィ:「あんたの彼氏のがよっぽど強面じゃボケぇ!(怒)」

フライヤ:「―――確かに(笑)」

ラニ:「バカね、ダンナはああ見えて実は優しいんだからv」

ルビィ:「へ〜(じと目)」

ベアトリクス:「驚きですね、それは」

エーコ:「ね〜」

ラニ:「……そんなこと、あんたたちだってよく知ってるでしょうが!」

エーコ:「どうだったかしら」

フライヤ:「どうだったかのう?」

ラニ:「ちょっと〜!!」

ガーネット:「確かに、サラマンダーは優しい人だと思うわ」

ラニ:「でしょでしょ? さすが姫さん、人を見る目があるね〜♪」

ルビィ:「ど〜ぉだか。ジタンみたいなサルを選ぶやなんて、姫さんも男を見る目がないんとちゃうのん?」

ガーネット:「(ガーン|||)」

ラニ:「そう言うあんたはどうなのよ」

ルビィ:「あんたこそどうなんよ!」

ベアトリクス:「まぁまぁ、喧嘩なさらず(苦笑)」

ルビィ&ラニ:「そういえば、将軍さんはどうなの(ん)よ!」

ベアトリクス:「わ、私ですか?」

ルビィ:「ブリキを選ぶなんて、ちょっとシュミ疑うわ〜」

ラニ:「だよねぇ」

ベアトリクス:「そうでしょうか? スタイナーは誠実で真面目で責任感も強く、よき夫、よき父になる人間だと私は思いますが」

ルビィ&ラニ:「……(汗)」

ガーネット:「そうね、スタイナーはとてもいい人だと思うわ」

エーコ:「ちょっと癇癪持ちだけどね(笑)」

クイナ:「スタイナーはなんでも食べるアル。スバラシイ人間アルね!」

ベアトリクス:「……ど、どうも(汗)」

フライヤ:「(笑) ところで、話は変わるのじゃが」

ガーネット:「なぁに、フライヤ?」

フライヤ:「エーコは一体誰にチョコレートを作っておるのじゃ?」

ガーネット:「そういえばそうね。ジタンに?」

エーコ:「違うよぉ。エーコは恋人のいる人にはキョウミないの!」

 と、三角巾を巻いた頭をフリフリ。

エーコ:「エーコはね、義理チョコ作ってるの!」

ガーネット:「義理チョコ?」

エーコ:「そう! 本命じゃないけど、日頃から仲良くしてる人とか、お世話になってる人とかにあげるチョコだよ」

ガーネット:「まぁ、そういうチョコもあるの?」

ルビィ:「あるで。うちもタンタラスの奴らに毎年あげるんや」

ガーネット:「それじゃぁ、もっとたくさん作らなきゃ! お世話になってる人がたくさんいるもの。クイナ、チョコを追加してもいい?」

クイナ:「材料は余分にアルから、大丈夫アル」

ガーネット:「よかったv」

ラニ:「……嫌な予感(笑)」

ルビィ:「おもろいもんが見られるかもわからんわ(笑)」

 ―――小姑かい、あんたらは(苦笑)

クイナ:「チョコレートが溶けたら今度は冷水で冷やすアル。空気を入れないように混ぜるアルよ〜! 水の温度は二十六度くらいがいいアル」

ガーネット:「温めて溶かしたのに、また冷やすのね」

クイナ:「そうすることでなめらかなチョコレートになるアル。一度溶かしたまま冷やして固めるとカカオに含まれた油分が固まって、表面に白い粉が出るアル。風味も劣るアル」

エーコ:「へ〜!」

クイナ:「これをテンパリングというアル。おいしいチョコレートを作る基本アル。手間をかけて心を込めるから、おいしいものが出来るアル」

ガーネット:「心を込めて……」

エーコ:「だから手作りがいいのよねv」

フライヤ:「そうじゃな」

エーコ:「そうだ。ねぇねぇ、フライヤはフラットレイとは仲良くしてるの?」

フライヤ:「しておるぞ」

ベアトリクス:「フラットレイ殿はお元気ですか?」

フライヤ:「相変わらずじゃ」

ラニ:「まだ記憶喪失のままなの?」

フライヤ:「そうじゃ」

ルビィ:「ひどい男やねぇ」

フライヤ:「まぁ、本人も好きで記憶を失うておるわけでもないしのう(苦笑) 新しい想い出を二人で作って参ることが大切なのじゃ」

 ―――しみじみ。

ガーネット:「でも、フラットレイって本当に素敵な人よね」

エーコ:「フライヤが五年も探し回るのもわかるのだわ」

ルビィ&ラニ「五年!」

フライヤ「(苦笑)」

ベアトリクス:「フラットレイ殿は大陸一の槍使いであり竜騎士であられますから、行方知れずと聞けば何かあったものと心配なさるのも無理はありません。私がフライヤ殿でも、フラットレイ殿を探しに参ったと思います」

ルビィ:「意外と熱いお人やね、将軍さん……」

エーコ:「そりゃもう、アッツアツのラッヴラヴなのだわv」

ラニ:「げげ(笑)」

クイナ:「十分に冷めたら、また温めるアル。もう一度湯煎して、今度はチョコレートを三十度くらいまで温めるアル。今は冬アルから、三十一度くらいがちょうどいいアル。普段は二十九度で充分アル」

ガーネット:「ねぇエーコ、義理チョコってどこまであげるものなのかしら? 城に仕えてくれている兵士にもあげたほうがいいの?」

ルビィ:「それはあげすぎやろ(苦笑)」

エーコ:「エーコはお父さんにあげるのだわ。ホントはたくさんあげたいけど、ジタンもスタイナーもサラマンダーもみんなお相手がいるから……もらえそうにない子にあげることにしたの」

ラニ:「あら、誰?」

フライヤ:「おお、ビビではないか?」

ガーネット:「まぁ、ビビにあげるの、エーコ?」

エーコ:「……悪い?」

ガーネット:「悪いことないわよ! きっとビビ、喜ぶわ」

エーコ:「うん……えへへv」

クイナ:「アイヤー、これでテンパリングは終わりアル。あとは型に流し入れて冷やし固めるだけアルよ♪ 型に入れるときにアーモンドやナッツ類を入れたり、固まってからデコレーションしたり、オリジナルの飾り付けをするアル!」






 そんなこんなで各々心を込めたチョコレートは完成した。

 ちなみに、一部お返しを期待している者があるらしいということは、聖バレンティノの名誉のために内密にしておこう……(苦笑)





-Fin-



わ〜ん、何だこれは〜〜(号泣)
間に合うようにガンガン書いてみたはいいけど、お、面白くない!!(滝汗)
さぁ、みなさん。ウィンドウを閉じよ、街へ出よ(はい?)
・・・とりあえずバレンタイン小説です。どこがバレンタインなのかさっぱりですが(T−T)
本当はまだ続けたかったんですけど、間に合わないってのとあまりに面白くないのとで、
途中で挫折しました・・・(涙)
あ、でもですね。クイナが教える「チョコレートの作り方」は正確です。
ちゃんとチョコレート菓子専門のレシピ本から引用させてもらいました(笑)
昔「こまったさん」とか「わかったさん」ってシリーズありませんでした?
ストーリーの途中でレシピとか作り方が入ってくる子供用の本なんですけどね。
目差したのは一応あの雰囲気です・・・(何)
・・・(号泣)
ハッピー・バレンタインv(滝涙)
2003.2.14



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