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時計塔が、小さな鐘で日付が変わったことを告げた。
聖夜のこの日、アレクサンドリアは大雪だというが、リンドブルムは星がくっきり見えるほどよく晴れていた。
窓から洩れる月明かりに、リアナはふと目を覚ました。
ほんの少しだけ、身じろぎする。
布団の隙間から冷たい空気が流れ込んで、思わず身を竦ませた。
と。
カサリ。
紙包みの擦れる音がする。
リアナは誰か起きているのかと、耳を澄ませた。
ギシ、ギシ。
子供ではない、大人の歩く足音。
リアナははっとして、ベッドから起き上がる。
ぬっと現れた大きな影に、彼女は飛び上がらんばかりに驚いた。
「だ……」
「しー」
彼女の顔に髭面を近づかせ、その人は太い人差し指を口元に当てた。
赤い帽子、赤い服。
白いお髭……!
「サンタさん!」
リアナは小さく、感嘆の声を上げた。
サンタクロースはにっこり微笑むと、暖かい大きな手で、頭を撫でてくれた。
気配に気付いたのか、ジェフリーとラリも目を覚ます。
「うわっ!」
と、二段ベッドの上段から身を乗り出して、ジェフリーは丸い目でサンタクロースを見つめた。
「サンタクロースずら……」
ラリは、呆然としている。
やがてハリーも目を覚まし、同じく呆然となって彼を見つめた。
サンタクロースは子供たちの枕元に一つづつ包みを置くと、にっこり微笑んで部屋を出て行った。
「……見た?」
「見た」
「見たずら」
「見たっス」
「「「「やっぱりサンタクロースはいるんだ――――――っ!」」」」
***
「そのサンタクロース、あたしも見覚えあるわ」
サファイアはクスクス笑った。
「確か、豪快なクシャミをするサンタさんでしょ?」
「そそ」
と、ジェフリーが頷いた。
「騙されたよなぁ、大ボスには」
「結局、十二になるまで信じてたもんね〜」
リアナは口ぶりとは裏腹に、嬉しそうに微笑んだ。
「ジェフリーは十五くらいまで信じてたずら」
「んなっ、そこまでひどかねぇよ!」
ジェフリーはカッとなってラリを睨んだ。
「お前だって結局信じたじゃねぇか。サンタなんていない、とか言っといて」
「大ボスだって、伊達に何十年も役者やってないずら。七つか八つの子供を騙すくらい、簡単ずら」
「そうっスよね〜」
ハリーは遠くを見つめながら、目を細めた。
「もう、サンタは来ないっス」
「……うん」
リアナは自分の爪先を見た。
「もう、子供じゃないもんね」
ジェフリーはポンッとベッドから立ち上がった。
「ほら、しんみりするなって。せっかくのクリスマスなんだしさ」
「そうずら」
ラリも立ち上がる。
「よし、マーカスのオジキんとこの教会行って、手伝いでもしようぜ!」
「うん」
「行こうっス!」
リアナは、部屋の戸を閉めようとして、一瞬立ち止まった。
西日の差し込んだ部屋に、白いお髭のサンタクロースが微笑った気がした。
――― Merry Xmas ―――
は〜、頑張ったけどイヴには間に合わなかった・・・!
2世タンタラスの子供時代、初めてですね(^^*)
いまいち推敲できてないので、また部分部分書き替えるかもしれませんが。
去年はアレクサンドリアのご一家を書いたので、今年はこちらでv
「来年は宿り木の話を〜」なんて書いてありましたが、気付いたら2世タンタラスになってました(笑)
子供時代は双子が八歳くらい、戻ってきて十年後くらいですかね。
ちなみに、サンタさんはもちろんあの方です・・・( ̄ー ̄)
今度、2世子供タンタラスとか書いてみたいな〜・・・と思ったクリスマスでした(笑)
メリークリスマス♪ そして良いお年を・・・v
2003.12.25
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