<3> ダイアンは、城の船着場付近でスタイナー三兄弟と遊んでいた。 「あ、父上〜!」 と、ジタンの姿を認めるや否や走り寄ってくる。 「寒いのに元気だなぁ、お前らは。なぁ、サフィー見なかったか?」 「僕、見てないよ」 「お前たちは?」 スタイナー三兄弟もはて、と首を傾げ。 「「「お見かけしておりません」」」 父親に倣ってか母親に倣ってか、子供としては尋常ならざる言葉遣いに辟易させられる。 「そっかぁ、困ったな」 「父上、父上!」 「ん? なんだ?」 「肩車!」 「―――今、父さんはそれどころじゃないんだけどな、ダイ」 「何かあったのですか?」 と、スタイナー三兄弟の長兄、デイビッド。 「いやさぁ、誰かサフィーがサンタに何頼んだか知ってる奴、いるか?」 いるわけない、いるわけない。 「僕ね、知ってるよ」 と、足元でダイアン。 「本当か?」 「うん。えとね、サフィーは誰にも知られないようにこっそりお祈りするって言ってた」 「……で?」 「んとね、何をお願いするかは内緒って言ってたよ。心の中でお願いするだけで、サンタさんには聞こえるんだって。ねぇねぇ父上、それ本当? 僕も毎日お祈りしてるけど、サンタさん来てくれるかなぁ?」 あ〜、わかったわかった。 ジタンはぴょんぴょん跳ねる茶色い頭を撫でてから、困ったものだと溜め息をつく。 お手上げだ。 間違いなくお手上げだ。 もしかしたら、ちょくちょく城を留守にするのが祟ったのかも知れない。 そういえば、サフィーが赤ん坊の頃、抱っこしただけで泣かれた記憶が…… 「父上、父上!」 めり込んでいく父親の腕を揺さぶる息子。 「ベアトリクスが呼んでるよ!」 はっと振り向くと、城の窓からベアトリクスが手招きしているのが見えた。 *** 「何かわかったのか?」 息を切らせて駆け込んできたジタンに、ベアトリクスは苦笑を漏らした。 十年以上の付き合いになるが、その間で最も真剣な表情。 彼は自分の子供たちのこととなると、世界を救うあの戦いよりも真剣に取り組むのだ。 そういえば、あの少年がここまで成長したのか、と、ベアトリクスはさらに考え耽った。 が。 「おい、聞いてんのか? ベアトリクス!」 ジタンが詰め寄ったので、彼女の追想はそこでストップした。 「はい。サファイア様は絵手紙を主人のところに持っていったようなのです」 「スタイナーのおっさんとこに?」 「ええ。一番口が堅そうだから、と」 ―――よもや、父親よりも他所のおっさんを信用するとは。 やっぱり、トレジャーハンティングはやめて一生子供の傍にいた方が…… またまためり込んでいくジタンに、ベアトリクスは構わずさらに説明を続ける。 「ですが、主人は欲しいものを描いたなら、それを靴下に入れてベッドの側に吊るしておけばよいのだと説明したそうです」 「じゃぁ、おっさん中身見てないのか?」 「いえ。しっかり拝見したそうです」 「で?」 「それが、何が描いてあるのかさっぱりだったと」 ……。 おっさん、使えねー! 「主人は、ジタン殿ならお判りかも知れないと思って、サファイア様のお部屋で一緒に靴下を用意したと申しておりました。その後散歩にお連れしたようですから、今がチャンスだと思います」 おっさん、ナイス! 「わかった! サンキュー、ベアトリクス!」 「いえ、どういたしまして」 ジタンは部屋を飛び出すと、子供部屋へと走っていった。 ベアトリクスの部下が、珍しく大笑いする将軍を見かけたのはこの数瞬後であったという。 ちなみに、サファイアが欲しかったのは大きなクマの縫いぐるみだったそうな。 イベントものなのにこっそりアップでございます(^^;) とりあえず、今回はここまで(笑) と言っても、続きはまだ書いてません。。。(汗) え〜、なんかしょうもないもん書いてるなぁ、と自分でも思います(^^;) 続きはもっとジタガネなはず(笑) でも、まだ書いてないので、本当に書けるかは不明です(激何) ・・・行き当たりばったりなせいでございました(^^;;) 続きなんて読みたい方いらっしゃるのかなぁ・・・。 実は一応、半分ぐらい我が家の実話(笑) 我が家の次女はジタガネ家の次女みたいなことをやらかしたらしいです(爆笑) 2002.12.18
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