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「おい、ジタンはどうした」
「まだ寝てるずら」
「ったく、いつまで寝るつもりだ。おい、ブランク。おめぇちゃんと起こして来い」
 元々朝寝坊なジタンを起こすのは、いつもブランクの役だったが。
 最近、ブランクがいくら呼びかけても返事をすることがない。
 本当に寝ているのか、寝たふりをしているのかは定かでなかった、が。
 夜寝るときも先に寝ているか、ブランクが寝た後部屋に戻ってくるか、どちらかだ。
 物音に目を覚ましたブランクが何か言っても適当に返事してすぐに寝てしまうから、結局すれ違ったまま、話も出来ないのだった。
 だから。
 突然バクーが下した命令に、ブランクは素直に従えなかった。
「お、俺が起こしてくるっス」
 マーカスが気遣わしげに言って立ち上がるが、
「俺ぁ、ブランクに言ったんだが?」
 と睨まれて、黙り込む。
「さっさと起きて飯食うように言ってくれ」
「ちょぉ、ボス!」
 ルビィが口を差し挟もうとしても。
「俺の命令に従えねぇのか?」
 たぶん、二人が気まずくなっているのを知っていてこう命じるのだろう。
 ブランクは無言のまま立ち上がり、彼らの部屋へ向かった。


「起きろ、ジタン。早く飯食えって、ボスが」
 返事がない。
 どうも無視ではなく、本当に寝ているらしい。
「こら、ジタン。起きろって!」
 布団を剥がすと、う〜、っと抗議の声。
「あと五分〜」
 がばっと布団を奪い返して再び包まってしまう。
 これは、いつも通り。
 たぶん寝惚けているのだろう……そう思うと、無性に悲しかった。


 意識して自分を避ける理由はなんだろう?

 何が気に食わないのだろう?

 言ってくれなければわからない。

 違う、言われなくてもわからなけりゃならないんだ、俺が。

 何年つるんでるんだ、俺たちは……。


「ジタン―――なんで俺のこと避けるんだよ」
 布団に包まったままのジタンに問い掛ける。
 ピクっと、布団の山が震えた気がした。
「俺、なんかしたか? お前、なんか俺に怒ってんだろ?」
 ごそごそと、ますます布団に包まり込むジタン。
 ―――答えは貰えない。
「……早く起きろよな」
 ブランクは部屋を出た。



 それ以来、ジタンはますますブランクを避けるようになり。



 そんなある日。
 ―――彼は、突然アジトを出て行った。






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